浮かぶ島

僕は日本人学校でも先生をしている。中学1年の数学と地理を担当している。今日はその地理の授業であったひとコマ。

今日の地理のテーマは世界と日本の地形。地球の陸地は全体の約30%だとか、日本は環太平洋造山帯に属しているとか、そういう内容だった。その中のワンシーン。

私「海の水をぜーんぶなくしたら、海の底も大陸のように、山があったり谷があったりすんですよ」
生徒「先生。でも、もし海の水を全部なくしたら、島がみんな下に落っこちるんじゃないですか?」
私「・・・・・・落ちませんよ」
生徒「えーーー、だって、島は海に浮いてるんだから、、、」
私「浮いてませんよ。島は高い高い山のように見えるんです」
生徒「へー」

この会話を読んで、一般の人はなんて思うのだろう。中学生のくせにそんなことも知らなかったのか、と思うのだろうか。確かに、この生徒以外は島が海底でつながっていることを知っていた(中には浮いている島もあるのかもしれないが)。でも、僕が思ったことは、「あー、なんてかわいらしい授業のひとコマだろう」、である。

子供って大人が想像できないことを考えていたりする。僕は幼稚園にいたころ、じゃがいもは木になるものだと思っていたらしく、木からじゃがいもが落ちる絵を描いていた。今でもその絵は実家にあるのだが、我ながらなんてかわいいんだろうと思う。

島が海の上に浮いていると思ってたって、じゃがいもが木になっていると思っていたって、人に迷惑なんかかけやしない。むしろ、人を笑わせてくれたり、心をなごませてくれたりすると思う。だったら、こういう想像力を持った人は大切な存在なんじゃないだろうか。

中学生だって、大人だって、こういう想像力を持っていいじゃない。少なくとも、僕はこの生徒のおかげで心がなごみました。

追記:「南に浮かぶ島、ハワイへご招待!」なんてプレゼントの広告を見て、島は浮かんでると思っていたんだろうか??