責任とリスク

今年に入ってから土曜日に雪が降ることが多い。土曜日に雪が降ると、日本人学校がキャンセルされる。このキャンセルの連絡はたいてい金曜日にされるのだが、今回は土曜日の朝になってもなかった。

朝5時に起床。外を見ても雪は見えなかった。これなら大丈夫だろうと思っていたのだが、6時ごろに少しずつ降り始めた。嫌だなーと思いながら、いつも出かける時間の7時ごろまで様子を見ていた。が、最近は8時にならないと夜が明けないので、地上4階の部屋からではどのくらい積もってるのかがわからない。しょうがないから、7時に外に出て確認することにした。

7時の時点で積雪約1センチ。これくらいなら車が走る道路は大丈夫だろうと思っていたのだが、走り始めて5分後にスピン。この状況であと1時間運転するのは無理だと思い、あっさり家に引き返した。それから日本人学校に電話して、今日は行けないことを伝えた。

さらに1時間後、日本人学校に自習の内容を連絡したのだが、そこでびっくり。同じ町に住んでいる他の先生方は出勤していたのだ。えらいというか、すごいというか、よくたどり着いたなと思った。おそらくノロノロ運転で行ったんだろう。

ここで考えたのが責任感とリスクの問題。ちゃんと日本人学校に行った先生方は責任感が強いが、僕は弱いということになるのだろうか?いや、自分で言うのもなんだが、責任感がないわけではない。それよりも、「事故を起すリスクを負えない」という思いが強かっただけである。

留学する前に、右折する対向車をよけて街路樹につっこんだことがある。その時は兄貴の車を廃車にしたにもかかわらず、怪我はまったくなかった。留学後には、鹿をよけてスリップしてしまい、車ごと土手に突っ込んだ。その時も友達の車を廃車にし、さらに生まれて初めて救急車で運ばれた。それでも運が良いのか、首をちょっとひねっただけですんだ。

若い頃は「交通事故なんて自分は起こさないよ」なんて思ったが、2回も車で事故を起こせば、交通事故が他人事でないことに気づく。そのせい(おかげ)か、教えないといけない責任感よりも、身を守らなければという思いが優先された。

1センチの雪くらいと思われるかもしれない。ゆっくり車を運転すればいいじゃないかと思われるかもしれない。それでも、僕は死ぬ(かもしれない)リスクを負うことはできなかったのだ。