兄貴

久しぶりに兄貴とチャットした。最近はたまにしかオンラインにならないし、オンラインになったとしても時差があるのでなかなかタイミングがあわない。さらに兄貴は社会人で家庭持ちなので毎日忙しい。だから僕は何か用事がない限り話しかけないようにしている。兄貴も忙しいのであまり話しかけてこないんだけど、今日は兄貴のほうから話しかけてきた。

開口一番(開タイプか?)、ビッグニュースがあると言ったので、僕は二人目誕生なのかと思ったが、そうではなかった(甥っ子は今1歳4ヶ月でーす)。3〜4年ほど働いた病院を5月いっぱいで辞めるそうだ。前から辞める辞めると言っていたけど、今回はマジらしい。そこには色々な理由がある。

病院で働いているけど、兄貴は医者でもなければ看護士でもない。正確には病院に付属している老人介護施設で働いている介護士だ。お年寄りにご飯を食べさせてあげたり、おむつをかえたり、お風呂に入れたりと、かなりハードな仕事内容だ。夜勤もあるし、弟ながら(?)よくやっているなと思う。この仕事内容を聞いただけで辞める理由になるなと僕は思うのだが、タフな兄貴はこれだけで仕事は辞めない。細かい理由は色々あるみたいだけど、その中でも主な理由になるのは、上司とその施設の仕事に対する考え方のようだ。

看護婦が間違えた薬を飲ませて患者を死なせてしまった話は何度か聞いたことがある。このミスの原因はいくつか考えられるが、その中に病院の怠慢な態度と看護士達に対するありえない仕事量があると思う。兄貴が今働いている施設を辞めたい理由がまさにこれだ。僕は専門知識がないので詳しいことはわからないが、この施設では法律に違反した報告書を作成したり(報告書自体を書いてないんだったかな?)、最低人数が足りないまま介護士に仕事させたりしているそうだ。新しく変わった上司はこの事実を知っていてか知らずにか(まぁ知っているだろう)、こう言い放ったそうだ。「私は間違ったことは言っていないし、違反などはさせていない」。

アホなくらい正直者の九州男児は黙っていられなかったようで、その上司と面と向かって口論したらしい。内部告発まで考えたが、色々な理由があってそれはしない。母親にも内部告発の話をしたが、それだけは止めてくれと言われたそうだ。当然だろう。母親は世の中の正義なんかより子供の幸せを考えるものだ。内部告発してこの世界でやっていけなくなる兄貴を見るのは、母親としてはつらすぎる。

結局兄貴が出した策が、今働いている施設を辞めて、新しくできる施設に入ること。まだ入れるかどうかわからないが、とりあえず挑戦してみる。さらに、兄貴の野望はここで終わらない。新しくできる施設で働いて経験を積んだ後には、自分で施設のようなものを創りたいそうだ。

そろそろ日本では寝ないといけない時間になった時に兄貴がこう言った、「ある意味、こういう行動をおこさせてくれる今の施設に感謝しないとな。反面教師ってやつか」。

かなり遠いところからだけど、僕も応援している。兄貴ならできるぜ!でも、助けが必要ならいつでも言ってくれ。地球の裏側からでも駆けつけるぞ。